
アキオくん。
前回は、プラモ作りに必要な道具を教えてくれてありがとう。

モデラー仲間が増えてうれしいよ。
最近はどう?

それで、そろそろ塗装にも挑戦しようと思うの。

そうか。ハルコちゃんも、ついに模型沼に足を踏み入れようとしているんだね。
プラモデルの塗装の概要

ハルコちゃんは、筆塗りで塗装したい?
それともエアブラシで塗装したい?

そうね。まずは気軽にできそうな、筆塗りから始めようかな。
プラモデルの塗装には、大きく分けて2種類あります。
- 筆塗り
- エアブラシ
筆塗りは、筆と塗料と薄め液さえあれば、お金をかけずに、手軽に始められることから、初心者向けといえます。
エアブラシは、吹き付け塗装をすることで、均一な塗装が手軽に行なえるものです。コンプレッサーや塗装ブースなどを別途用意しないといけないので、初期投資に数万円かかります。
プラモデル用塗料

塗料は主に水性とラッカー系に分かれるんだ。
水性塗料は安全なので、最初は水性をオススメするよ。

そうね。ラッカー系は、臭いもんね。

塗膜の強度はラッカー系が一番なんだけど、塗装環境が整ってないと取り扱いは難しい。
水性塗料でも塗膜強度がラッカー並みに改良された塗料もあるんだ。
2019年に改良版が発売された、クレオスの水性ホビーカラーだよ。
プラモデル用の塗料には、以下のものがあります。
- 水性塗料:安全性重視、臭い少なめ、塗膜弱め※1、乾燥遅め※1
- ラッカー系塗料:シンナー臭がする、塗膜強い、乾燥早い
※1:最近の水性塗料は、塗膜強め、乾燥が早い塗料が存在します(後述の水性ホビーカラー)。
水性塗料
水性塗料は、安全性に重きをおいた模型用塗料です。一般的に、水性塗料にも有機溶剤が含まれていますが、含有量が少ないので、臭いが抑えられています。筆やエアブラシを水で洗浄することもできます。
水性塗料には、以下の商品があります。
- クレオス「水性ホビーカラー」:入手しやすい、安価
- タミヤ「アクリル塗料」:入手しやすい、安価
- ファレホ(Vallejo)「ファレホ」:入手がやや困難、高価
- VIC「VICカラー」:入手性がやや困難、安価
- クレオス「アクリジョン」※2:入手しやすい、安価
サイト著者的には、クレオスの水性ホビーカラーがおすすめです。
この水性ホビーカラーは、昔からありますが、2019年に性能を向上させた改良版が発売されました。従来よりも乾燥が早く、塗膜強度も強くなったので、水性塗料の弱点を克服し、ラッカー系塗料並の性能になっています。臭いも少ないので、初心者~上級者まで、人気がある塗料です。
※2:アクリジョンと呼ばれる水性塗料もあります。臭いがまったくしないほど、有機溶剤が少なく安全性の高い塗料で、なおかつ、塗膜も強い・乾燥も早く、ラッカー系と水性の好いとこ取りしたような塗料ですが、筆塗り・エアブラシ塗装ともに、取り扱いに難があり、サイト著者はおすすめしていません。
ラッカー系塗料
ラッカー系塗料は、有機溶剤を多く含んでおり、塗膜が強く、乾燥も早い模型用塗料です。
塗装面の仕上がりの良さを追求する、玄人向けの塗料といえます。有機溶剤を多く含んでいるため、シンナーの臭いが多分にするため、使用するには、塗装するための環境を整えなければなりません。筆やエラブラシの洗浄には、専用の薄め液(シンナー)が必要です。
ラッカー系塗料には、以下のものがあります。
- クレオス「Mrカラー」
- ガイアノーツ「ガイアカラー」
- タミヤ「ラッカー塗料」
クレオスの「Mrカラー」が有名です。色のラインナップの豊富さで群を抜いています。
エナメル塗料
エナメル塗料は、メインで使用する塗料というよりは、補助的に使用する塗料といえます。
エナメル塗料には、以下のものがあります。
- タミヤ「エナメル塗料」
- ガイアノーツ「エナメルカラー」
エナメル塗料は、「スミ入れ」と呼ばれる技法を使うときに使用します。これは、パーツの彫り込まれたスジ(パネルライン)に、薄めた塗料を毛細管現象で流し込ませることで、パネルラインをくっきりと強調させるものです。
スミ入れ専用エナメル塗料もあります。自分で薄める必要がないので、便利です。
ちなみに、バンダイのガンプラにエナメル塗料を使うと、パーツが破損することがありますので、おすすめしません。
バンダイのプラモは、スナップフィット方式と呼ばれる、パーツをピンと穴で結合するものですが、この部分に荷重(ストレス、テンション)がかかっており、そこにエナメル塗料に含まれる溶剤成分が付くと、割れてしまうためです。割れると、ボロボロになってしまいます。
慎重にスミ入れすれば、大丈夫なときもありますが、拭き取るときの溶剤が危ないので、やはりおすすめしません。無塗装のガンプラでやるときに注意が必要です。全塗装したガンプラでも、塗装が回っていない部分にエナメル溶剤が回ると、やはり割れるので、おすすめしません。
ガンプラのスミ入れには、クレオスの「Mrウェザリングカラー」がおすすめです。本来は、汚し塗装用ですが、スミ入れにも使用できます。油絵の具系の塗料なので、割れる心配は皆無です。油彩塗料のほのかな香りはしますが、安全な塗料です。
薄め液(溶剤:シンナー)
上記に挙げた、プラモデル用塗料には、それぞれ専用の薄め液があります。それぞれ専用の薄め液を使用しないといけません。
水性塗料の場合は、水で薄めることもできますが、サイト著者的には、専用の薄め液を使用したほうがよいと思います。そのほうが、乾燥が早く、塗膜も強くなるためです。
また、水性塗料のアクリジョンの場合に限っては、専用の薄め液で薄めると、いつまでも乾かなくなるので、水で希釈したほうがよいと思います。
あったらよい物
筆塗りにしろ、エアブラシ塗装にしろ、塗装する際にあったほうが良いものを解説します。
- ボロ布:こぼれた塗料や洗った筆を拭うときに必要
- 綿棒:塗料の撹拌や、スミ入れの拭き取りに必要
- 爪楊枝:塗料の撹拌や、塗装する際の取っ手として使用することがある
- 両面テープ:塗装する際の取っ手とパーツの仮止めに必要
100円ショップで入手できるものばかりなので、消耗品としては安く抑えられます。
換気
水性塗料、ラッカー系塗料問わず、塗装するときは、健康と安全のためにも換気が必要です。
筆塗り

私は、まずは筆塗りからやってみたいわ。

そうだね。簡単に始められる分、”初心者向き”と言えるけど、奥が深くて、”上級者向き”でもあるのが、この筆塗りなんだよ。

そっか、うまく塗れるか心配だな~。

ハルコちゃんは、ガンプラを塗ろうとしているから、まずは部分塗装から始めたらよいと思うよ。
いきなり全塗装するのは挫折しやすいから今はやめとこう。

部分塗装って、パーツの一部を塗装することよね。
最近YouTubeの動画を見て参考にしてるの。
フデムラさんっていう人の筆塗り動画が参考になったわ。
筆塗りで納得のいく完成度に仕上げるのは、結構難しく、いきなり全塗装(全部を塗ろうとすること)に手を出すと、かなりの確率で、失敗する可能性があります。
仕上がりの良さへの憧れから、筆塗りからエアブラシに移動するモデラーもいるみたい。
簡単に始められるものの、完成度を高めるには、腕を上げるしか無いのが筆塗りです。上達すれば、超絶技巧の筆塗り作品も夢じゃない?
筆
プラモデルの筆塗りによく使う筆は以下のとおりです。
- 平筆
- 面相筆
- 極細面相筆
筆塗りの仕方・コツ
筆塗りのコツをご紹介します。筆ムラを抑えることができます。
- 専用の薄め液で”少し薄めて”、3~5回に分けて、方向を変えながら塗る
- 大面積を塗るときは、平筆で
- 一度に何度も同じ所を筆で塗らない
- 半乾きの箇所は筆で触らない
- ある程度乾燥してから、次の層を塗る
参考動画
筆塗りのうまいYouTuberのフデムラさんっていう人がいるよ。ガンプラやスケールモデルを全部筆塗りで仕上げているモデラーさんみたいです。真似できるかどうかはアタナ次第?!
エアブラシ

エアブラシについても一応聞いておこうかな。

そうだね。僕は、エアブラシをよく使っているよ。
細かい部分は、筆塗りしてる。
エアブラシは、「ハンドピース」※3と呼ばれる吹付け機具を使用します。また、吹き付けるための空気が必要になります。この空気を送り出す装置のことを「コンプレッサー」といいます。
※3:「ハンドピース」、「ブラシ」、「エアブラシ」などと呼ばれますが、同じものです。
エアブラシ本体
エアブラシには、次の種類があります。
- シングルアクション
- ダブルアクション
「シングルアクション」は、ボタンを押すだけで吹付けできますが、一気にMAXの吹き付けになるので、調整ができません。ベタ塗りに向いていますが、後述のダブルアクションなら、細吹き・ベタ塗りどちらもできるので、ダブルアクションがおすすめです。
「ダブルアクション」は、ボタンを押すと、まずエアーが出ます。このとき、塗料はまだ出てきません。ボタンを押した状態で、ボタンを手前に傾けると、少しずつ塗料が出てきます。ベタ吹き、細吹きの調整がしやすいため、ダブルアクション1つで、シングルアクションでできることをカバーします。
また、エアブラシには、「ニードル」と呼ばれる針の種類が別れており、ニードルの径が大きいほど、大面積を吹き付けられ、径が小さくなると、小さな面積を塗るのに適するようになります。
- 0.4mm:大面積用・・・高いエア圧のコンプレッサーが必要
- 0.3mm:一般的・・・小さな静音コンプレッサーでも吹付け可能
- 0.2mm:細吹き特化・・・小さな静音コンプレッサーでも吹付け可能
ガンプラ、スケールモデルを問わず、0.3mmの径のエアブラシが万能でおすすめです。
そして、同じ0.3mmのダブルアクションが2つあれば、大体事足ります。特に、1本はメタリック色専用にすることが重要です。メタリック色は、洗浄しても、金属粒子がカップの中に微量に残ってしまい、次の色に影響を与える場合があるので、メタリック色専用があったほうが絶対に良いです。
ただし、後述のコンプレッサーを買うと、エアブラシが1つ付いてくる場合があるので、コンプレッサーを購入する場合は、そこをよく確認しておきましょう。
サイト著者は、クレオスのダブルアクションタイプをおすすめしています。エアブラシは一生モノなので、しっかりとした品質のものを選べば、後で買い足す必要がなく、トータルで安く済みます。
コンプレッサー
模型用のコンプレッサーには、色んな種類があります。有名なブランドを以下に挙げます。
- クレオス
- タミヤ
- エアテックス
正直、好みで選べばよいと思います。圧力については、ガンプラ・スケールモデルなら、多少弱めの価格の安いコンプレッサーでも問題ありません。特に、ガンプラの場合なら、なおさらで、圧力を抑えた静音モデルでも十分対応できます。
サイト著者のおすすめは、クレオスのリニア式のコンプレッサーです(プチコン、L5)。コンプレッサーは、早々に壊れるものではありませんので、長く使用できます。はじめに良いものにすると、後々後悔が少なくて済みます。
エア缶
模型用の吹付け塗装用に、缶に入った圧縮空気が売られています。サイト著者的には、コストパフォーマンスが悪いので、おすすめしません。また、連続使用していると、エア圧が下がって使えなくなったり、塗装の途中に空気が無くなると、とてもイラつくので、コンプレッサーをはじめに用意したほうが便利です。
塗装ブース
必需品というわけではないですが、あったほうが良いものです。
エアブラシ塗装した際の吹付けミストや臭いを吸って、部屋の外に排出する機具です。
まとめ

アキオくん。今日はどうもありがとう。
色々勉強になったわ。

わからないことがあったら、また聞いてね。
この記事のまとめです。
- プラモデル用塗料には、水性とラッカー系がある
- 薄め液はそれぞれ専用の物を使用しないといけない
- 筆塗りは手軽に始められるので、初心者向き
- エアブラシは、仕上がりをよくできるが、初期投資にお金がかかる
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