この記事では、タミヤのウォーバードコレクションのオススメキットとシリーズの解説をしています。
タミヤのウォーバードコレクションとは
概要
ウォーバードコレクションは、日本屈指のプラモデルメーカーのタミヤから販売されている飛行機キットシリーズで、1990年代から販売が開始されました。「ウォーバード」と謳っているとおり、ラインナップのほとんどが第二次世界大戦機です(一部に現用機もあり)。
大きさ
スケールは1/72で手頃なサイズのキットになっています。プロペラ機なら12~15cm、ジェット機なら20~30cmになります。1/72プロペラ機は小さく感じる方もいるかも知れませんが、そんなことはありません。精密な出来栄えゆえに存在感は抜群です!
入手性と価格
年間を通して生産されているようで入手しやすいです(生産中止された一部キットを除く)。お求めやすい価格帯なのが特徴で、ネット通販大手のAmazonなどでは、650~1,900円程度で売られています。
注意点
このシリーズを選ぶ際の注意点は、タミヤ製キットとイタリアのイタレリ製キットが混在していることです。
タミヤ製キットに関しては、品質が高いので、初期キット(2000年頃)でも十分な精密さ、組やすさがあるので、どれを選んでも問題ないでしょう。
問題はイタレリ製キットで、造形こそ優れているキットが存在するものの、精度が悪い点で手間がかかるキットがほとんどです。商品パッケージにイタレリ社のロゴが入っているキットは判別できますが、ロゴが入ってないものもあります。その点は後述します。
タミヤ製はすべて繊細な凹モールドでスミ入れが出来ます。イタレリ製は、凹モールドと凸モールドのキットに分かれていますが、2023年1月現在に流通しているイタレリ製キットのほとんどは凹モールドです。凸モールドのキットは初期に販売されていたキットの場合が多いです。
ウォーバードコレクションおすすめキット5選!
タミヤ製のキットなら「全ておすすめ」といっても差し支えない出来栄えです。その上であえて5選を挙げてみます!カッコ内表記は発売日です。
大戦機部門
三菱 零式艦上戦闘機 各タイプ(2012~2013)(タミヤ製)
1/72の零戦キットの決定版。なのにも関わらず、1,000円程度で入手できます。零戦の代表的なタイプを網羅。
2012年から2013年にかけて、この零戦シリーズがキット化されました。プロポーションが完璧なのに加え、コックピットの造形も1/72スケールとは思えないくらいに細かく作られています。しかも良心的な価格設定。脱帽です。
手のひらサイズであるものの、心配ご無用。実際に完成させると、それほど小さいというわけではなく、存在感は抜群です。1/48とは異なる、所有する喜びを得られる不思議なキットです。
零戦21型、22型、32型、52型があります(下記リスト参照)。各タイプを作り比べてみると面白いでしょう。
- No.80 三菱 零式艦上戦闘機 ニ一型(2012/9/8)
- No.85 三菱 零式艦上戦闘機 二二型/二二型甲(2013/12/7)
- No.84 三菱 零式艦上戦闘機 三二型(2013/9/28)
- No.79 三菱 零式艦上戦闘機 五ニ型(2012/2/18)
No.50 メッサーシュミットBf109E-3(2000/7/25)(タミヤ製)
1/72のBf109キットの決定版です!700円程度で入手できます!
ドイツの戦闘機です。E-3型は、大戦初期のタイプで、バトル・オブ・ブリテンでも活躍した機体です。キットは、アドルフ・ガーランド搭乗機などのマーキングが選択できます。
レシプロ機では小柄な印象がある戦闘機ですが、その分、緻密さが映えるキットと言えます。主脚の取付角度に注意しましょう。ウォーバードコレクションのスピットファイアと作り比べるのも面白いでしょう。
独特な迷彩塗装をすれば、苦難の先に、精悍なBf109を手にすることができるでしょう。きっと恍惚の眼差しでBf109を眺め続けるであろう、未来のあなたの姿が目に浮かびます。
また、この他にも各タイプのBf109のキットがウォーバードコレクションにあります。
No.49 P-51D マスタング(2000/7/18)(タミヤ製)
1/72のP-51Dキットの決定版です!750円程度で入手できます!
アメリカ陸軍の戦闘機です。美しいP-51の流線型ボディを心ゆくまで堪能することができます。コックピットの作りこみや、タイヤの切り込みモールド、主脚収容部の造形も良く出来ています。
安いキットですから、奥深い銀塗装の練習にもってこいのキットです。銀塗装時にはクリアコートも忘れずに!
現用ジェット機部門
No.88 ロッキード マーチン F-16CJ [ブロック50] ファイティンング ファルコン (フル装備仕様)(2015/2/28)(タミヤ製)
アメリカ空軍の戦闘機です。1/72のF-16キットの世界一の決定版です。
先に発売されたキット(No.86 ロッキード マーチン F-16CJ ブロック50 ファイティング ファルコン(2014/4/12))に武装パーツが追加されたのが、このキットです。
フル装備仕様のF-16はとてもかっこいいので、非常におすすめです!武装パーツにこだわらない方は、お安めの武装控えめのキット(No.86)でも十分満足できると思います。武装が付いてないほうがスマートに映ります。
No.44 A-10A サンダーボルトII(1999/3/16)(イタレリ製)
アメリカ空軍の対地攻撃機です。イタレリ製キットですが、1/72のA-10キットの決定版です。凹モールドで、豊富な兵装パーツが付いており、作りごたえと完成後の迫力が満点です!プロポーションが非常によくできており、モデラーからも評判の良いキットです。機首側面の点検パネルやキャノピー、ダイブブレーキは開閉選択式。
ただし、パーツ精度は高くなく、工作には手間がかかるでしょう。
また、説明書にオモリの指示がありますが、グラム数が記載されていません。ハセガワの1/72のA-10キットは、機首前部に8g、機首後部に10gの計18gの指示がありますので、これを参考に20g前後にすればよいでしょう(サイト著者は約25g入れましたが、もう少し減らしても大丈夫そうです)。
オモリは、下記のようなステンレス製のダボピンを用いると、小さなスペースに効率的に取り付けられます。重量計算サイトを活用して、1個当りの重さを計算し、何個取り付ければよいかまとめておきましょう。接着は瞬間接着剤かクリア系ボンドを用いると良いでしょう。
ウォーバードコレクションキット解説
ウォーバードコレクションのタミヤ製キット
アメリカ機
No.54 F-51D マスタング 朝鮮戦争仕様(2000/10/5)
P-51Dは、アメリカ空軍の創設後、「F-51D」という呼称に変更されました。キットそのものは、以前発売された、ウォーバードコレクションのキットが使われており、本キットは、500ポンド爆弾や6インチロケット弾などの兵装パーツが付いています。
No.73 ノースアメリカン P-51D マスタング 第8空軍エース(2005/12/3)
P-51Dのエースパイロットの機体を再現できるキットです。初の音速飛行を達成したチャック・イエーガー搭乗機「グラマラス・グレン」などが再現できます。
No.52 F4U-1D コルセア(2000/8/30)
アメリカ海軍と海兵隊で運用された艦上戦闘機です。バブルキャノピーで大戦末期に登場したコルセアです。キャノピーは2種類あり、ロケット弾8発と175ガロン増槽が2個付いています。機体塗装のネービーブルーは、好みの調色でこだわりたいところです。
No.75 ヴォート F4U-1A コルセア(2006/12/16)
アメリカ海軍と海兵隊で運用された艦上戦闘機です。アメリカ艦載機の塗装はネービーブルーですが、人それぞれの好みの調色が活きるキットだと思います。調色に困った場合は、缶スプレーから抽出するのもひとつの手です。

No.74 ヴォート F4U-1 バードゲージ コルセア(2006/9/27)
キャノピーに枠があるタイプ(バードゲージ)のコルセアです。
No.70 P-47D サンダーボルト バブルトップ(2004/7/6)
500ポンド爆弾やロケット弾ランチャーなど対地攻撃機としての雄姿を再現することができます。奥の深いナチュラルメタルの銀塗装に挑戦されてはいかがでしょうか。
No.69 P-47D レイザーバック(2004/3/16)
レイザーバック」と呼ばれるキャノピーから機体後部が一直線タイプのP-47Dです。武装パーツも付属しており、500ポンド爆弾やロケット弾ランチャーが付属。
No.45 リパブリック F84-G サンダージェット(1999/6/15)
アメリカ空軍が朝鮮戦争で使用した対地攻撃機です。同社1/48キットのスケールダウンキットと呼べます。機首の点検パネルは開閉を選べ、内部の機銃や弾倉も表現されています。爆弾やロケット補助離陸システムなども付属されています。
No.62 F84Gサンダーバーズ(2001/2/22)
F-84のサンダーバーズ仕様です。メッキパーツで構成されているので、銀塗装を考えている方は注意が必要です。
No.40 ベルX-1(1998/3/18)
初めて音速を突破したアメリカのロケット実験機です。キットは、ロケットエンジンや各種タンクを含め、機体内部構造物がしっかりとパーツ化されています。胴体クリアパーツ(左右両方)を使用すれば、機体内部構造を見せるモデルにすることができます。通常の胴体プラパーツ(左右両方)も入っています。ホビースポットU(模型店)が製作した金型を使用。
No.41 スカイレイ(1998/12/10)
アメリカ海軍で運用された艦上戦闘機です。パーツがかなり少ないのですが、本機の特徴であるデルタ翼の曲線美を正確に表現されており、美しいモデルです。
イギリス機
No.48 スピットファイアMk.I(2000/8/10)

Mk.I型は、バトル・オブ・ブリテン当時に活躍した機体です。バトル・オブ・ブリテンで戦ったメッサーシュミットBf109E-3と作り比べると楽しいかもしれません。
No.56 スピットファイアMk.Vb(2000/12/5)
翼は翼端を短く切り落としたタイプ2種類と楕円形を選べます。機首下面の防塵エアフィルターは2種類セットされ、北アフリカ戦線で活躍したTROP型として組み立てることができます。
No.47 モスキート FB Mk.VI(1999/12/14)
イギリス空軍の全木製機です。
その中でも最も多く製造された戦闘機爆撃型FB Mk.VIと夜間戦闘機型NF Mk.IIを選んで製作できます。戦闘爆撃型には500ポンド爆弾やロケット弾、夜間戦闘機型にはレーダーアンテナなどがセットされています。
No.53 モスキートB Mk.IV(2000/9/13)
モスキートの爆撃機型です。グラスノーズの機首や独特なキャノピーなど爆撃・偵察機型の特徴を正確にモデルされ、爆撃機型の機首部分には爆撃照準器を、偵察機型の機体下部にはカメラパーツがセットされています。
No.65 モスキート NF Mk.XIII(2001/5/23)
大型レドームを備えたタイプのモスキートです。
ドイツ機
No.55 Bf109E-4/7(2000/11/8)
角断面風防を装備したE-4と燃料増加タンクを装着して航続距離性能を向上したE-7を選ぶことができます。トロピカルフィルター装着のエアインテークもセットされているので、熱帯地域用のTROP型が再現可。
No.90 メッサーシュミットBf109 G-6(2019/4/20)
大戦後期に活躍したBf109です。主脚パーツに工夫が見られ、接着が確実にかっちりできるようになっています。タミヤの最新技術を味わい方は手にとってみられるとよいでしょう。
No.66 フォッケウルフFw190 A-3(2001/9/5)
A-3型は、BMW801 D-2エンジンを搭載したFw190初期の機体です。主脚の取付角度にやや注意が必要です。
No.51 フォッケウルフFw190 D-9(2000/8/24)
Fw190は派生型が多い機体で、このD-9型は、液冷エンジンを搭載して高々度性能を強化した機体です。
No.78 フォッケウルフ Fw190 D-9 JV44(2007/11/17)
上記D-9型の第44戦闘団(JV44)仕様のキットです。機体下面の白いストライプはデカールが付属。パイロットフィギュアも付いています。
日本機
No.37 晴嵐(1997/7/30)
日本海軍の潜水艦に搭載される予定だった特殊攻撃機晴嵐のキットです。機首に約12gのオモリを入れる指示がありますが、結構な重さとなりますので、スペースとの兼ね合いを考えてオモリを選定する必要があります。フロートの付いた水上機ですが、移動用ドーリーもセットされています。
No.38 南山(1997/11/27)
「晴嵐」の陸上機バージョンが南山(晴嵐改)です。よく考えたら、相当マニアックな飛行機です。
No.68 紫電(2001/12/19)
第二次大戦の日本海軍の戦闘機です。紫電改の前身がこの紫電です。紫電は、主翼の取付位置が中翼配置です。ややパーツの合いに難があるところもありますが、気になるほどではありません。

No.89 川崎 三式戦闘機 飛燕 1型丁(2018/3/31)
タミヤでは珍しい陸軍機の飛燕です。出来栄えは言うまでもなく最高級です。比較的最近のキットですので、タミヤの最新技術を味わいたい方におすすめです。ぜひマダラ迷彩塗装に挑戦してみてください。
ソ連機
No.81 イリューシン IL-2 シュトルモビク(2013/2/23)
国内プラモメーカーではあまり扱われないソ連機です。
キット自体は、シュトルモビクの決定版です。同社1/48傑作機シリーズのスケールダウンで抜群の出来です。機体の知名度が低いせいか、人気な機体ではありませんが、そんな機体のキットを出してくれるタミヤさんには感謝です!
2023年1月現在、生産中止で市場に流通していないキットが少なからず存在します。そのほとんどはイタレリ製キットです(下記リスト参照)。
入手可能なイタレリ製キット(2023年1月現在)
No.43 スホーイSU-34(1999/3/16)
ロシア空軍のスホーイSu-27の戦闘爆撃機型がこのSu-34です。凹モールドで、豊富な兵装パーツが付いています。モデラーからも評判の良いキットです。なお、完成させると、全長36.5cmにもなり、1/72スケールとは思えない大きさになりますので、置き場所の確保にはご留意を!

No.57 SU-27 B2 シーフランカー(2001/3/7)
ロシア海軍の艦上戦闘機です。このキットは、イタレリ製のキットをタミヤブランドで販売しているものです。カナードの取り付けに難があり、モデラーからの評価は低いようです。
No.59 JAS-39A グリペン(2001/2/15)
スウェーデン空軍の戦闘機です。凹モールドです。グリペンのキットはあまり存在しないので、このキットを選ぶのはありです!
No.63 F-22 ラプター(2001/3/14)
アメリカ空軍の最新鋭ステルス戦闘機です。あまり完成度は高くないですが、気軽にF-22を楽しみたい方に向いているキットです。1/72では、フジミからもF-22発売されており、フジミのほうが出来が良いのですが、本キットよりも値段が高くあまり流通もしてないようです。
No.87 ロッキード マーチン F-35A ライトニング II(2014/8/30)
航空自衛隊でもF-4の後継機として導入が決まっているF-35Aのキットです(垂直離着陸型のF-35Bではありません)。エンジンや武装も表現されていますが、機体パネル表現がかなり強調されていて、くどい印象があります。気軽に作るキットとしては良いのかもしれません。
No.91 ロッキード・マーチン F-35B ライトニングⅡ(2020/10/17)
非常に造形にこだわった作りごたえのあるキットです。ミサイル、爆弾の武装もてんこ盛り。爆弾倉は開閉選択式。ステルス機らしさを表現しようとすると翼下に武装を取り付けるか迷うところです。あるいは、本機最大の特徴である排気ノズルを曲げた状態で作るべきか、真後ろに向けるべきか、これまた迷う選択式。いっその事、ガンプラみたいに可動式なら悩むことないのにぃー!
生産されていないイタレリ製キット(2023年1月現在)
ウォーバードコレクションの初期に売られていたイタレリ製キットは、2023年1月現在、市場では流通していないものが多いです(下記リスト参照)。
- No.20 トーネードF3
- No.21 AV-8BハリアーⅡ
- No.22 ベルUH-1Bヒューイ
- No.23 BAeホーク
- No.24 ヒューズOH-6Aカイユース
- No.25 チャンスボート F4U-4B コルセア
- No.26 フォッケウルフ Fw190 D-9
- No.27 IAIクフィール C-7
- No.28 フォッケウルフ Fw190 A-8
- No.29 Aー4E/Fスカイホーク
- No.30 ヘンシェルHs129 B-2
- No.31 ユーロファイター 2000
- No.32 F-5E タイガーⅡ
- No.33 F-4S NAVYファントム
- No.34 ジャガーGR-1
- No.35 Ju-87 G-2 スツーカ
- No.36 海上自衛隊HSS-1
- No.39 RAH-66 コマンチ
- No.42 A-6Eイントルーダー(良キット)
- No.46 F/A-18E スーパーホーネット
- No.58 A-129マングスタ
- No.60 F-100Dスーパーセイバー
- No.61 カモフKA-52アリゲーター
- No.64 ボーイングX-32 JSF
- No.67 ロッキードX-35 JSF
- No.71 F6F-3 ヘルキャット
- No.72 マッキ MC202 フォルゴーレ
- No.76 ユンカース Ju87 B-2/R-2 スツーカ
- No.77 ユンカース Ju88 C-6 駆逐戦闘機
- No.82 F-14A トムキャット
- No.83 F-15E ストライクイーグル
まとめ
今回の記事ではオススメキット5選を紹介しましたが、タミヤ製のキットなら基本的にすべてオススメでハズレはありません。
ただし、イタレリ製は造形が良いキットもありますが、よほど好きな機体でない限りは、よく考えてから選びましょう。
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